カルチャー
2014年9月26日
54歳の私が40代半ばの体力を維持できる秘訣
[連載] 50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ【4】
文・増田晶文
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 9月26日の金曜日、ニッポン放送の『高嶋ひでたけのあさラジ!』にお招きいただき、『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)について、一席ぶってきました。その際、高嶋さんからいろんなご質問をいただき、「中高年の筋トレ初心者の皆さんが知りたいこと」を再認識した次第。

 今回は、高嶋さんからいただいた疑問にくわえ、時間の都合で放送ではお話ししきれなかったことを増補しつつ、あらためて筋トレのメリットとポイントについて説明します。

発見【1】――筋トレほど敷居の低い運動はない


 私が中高年の方々に筋トレを薦める理由はいくつかあります。とりわけ、筋トレのメリットは、性別や年齢、運動神経の優劣、スポーツ体験など一切関係ないことです。若者やアスリートたちの御用達の運動ではありません。

 むしろ、中高年以降の方々にこそ筋トレをやっていただきたい。どなたであっても、筋トレを始めたら必ずそれなりの成果がでます。

 しかも、筋トレはジムでマッチョがバーベルをガンガン挙げているというイメージが強いでしょうが、実はそこまでやりこまなくても、自宅で簡単にできます。

 そして、筋トレには老化を抑える効果があります。

 40歳から筋肉は年に0.5%ずつ減って行き、65歳を過ぎると急激に減少。なんと、80歳になると全盛期の60%から70%もの筋肉が失われてしまいます。

 若い頃の3分の1の筋肉量では、日常生活が困難になってしまう......老化を抑えるためにも、中高年からの筋トレが必要なのです。

 加齢による筋力低下は「サルコペニア」、骨と関節部の運動器に支障がでる現象は「ロコモティブシンドローム」とよばれています。これらは中高年以降になると同時に起こります。さらに「メタボリックシンドローム」が加わると、とても健康とはいえませんし、生き生きとした暮らしとはほど遠い状態になってしまいます。

 効果的な筋トレを継続することで「サルコ」「ロコモ」「メタボ」防止ができます。

 また、筋肉量を増やせば、高血糖のリスクが減って、糖尿病になりにくくなるといわれています。適度な筋トレや有酸素運動などで、脳の海馬の細胞が増えて認知症の予防になることも判明しています。

 京大大学院教授の森谷敏夫先生によれば、1回30分から45分の筋トレで糖尿病などにも予防効果があるそうです。ただし、筋トレが及ぼす効果は48時間とのこと。ということは、週に2、3回のトレーニングをしていると高血糖や糖尿病などの予防が期待できるというわけです。

発見【2】――筋トレは減量にも最適だった


 筋肉は自動車でいえばエンジンに当たります。筋トレで筋量が増えれば、エンジンの排気量が大きくなるのと同じ。大きなエンジンを搭載すれば、馬力がアップしガソリン消費量も増加するのは当然のこと。人間の身体でいうと基礎代謝が上がって、新陳代謝も活発になるわけです。基礎代謝と新陳代謝が増えれば、生きていくための消費カロリーも増大し太りにくくなります。基礎代謝に新陳代謝は加齢とともに減少していきますから、筋トレによってダイエットが期待できるわけです。

 筋力がつけば日常の動作が楽になり、肩こりや腰痛の改善にも役立ちます。

 筋トレを継続していると、ある日ふと「そういえば肩こりしなくなった」とか「腰痛が楽になった」あるいは「階段で息切れしなくなった」「買い物で荷物を持って苦にならない」といった、プラスの自覚がでてくるはずです。

 私は20代半ばから30代前半まで、それこそ筋肉原理主義者になって筋トレに邁進していました。ところが、アラフォー時代に筋トレをさぼったせいで、ポチャポチャのデブデブ体型に転落していました。

 いまは身長170センチで体重60キロ以下、体脂肪率はだいたい7~8%ですが、当時は65キロ、体脂肪率20%以上もありました。

 で、一念発起して40歳から筋トレを週3回ペースで再開したら、するすると体重が落ち、1年ほどで体型もぐっと絞れました。以来10年以上、特に太ったことも痩せ細ったこともありません。47歳の頃の肉体、さらに54歳で迎えた今夏のシェイプは筋トレ全盛期より出来がよかった。これは中高年の皆さんに、大いに励みにしていただきたい事実です。

 20代、30代より相対的にトレーニング量や回数が減ったし、扱う重量も軽くなっています。私は筋肉づくりにかかわるサプリメントも摂っていません。だけど中年のほうが理想の体型に近づけた――ここに、筋トレで大事なのは何かを解くヒントが隠されています。






50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ
こうすれば愉しく無理せずに続けられる
増田晶文 著



【著者】増田 晶文(ますだ まさふみ)
作家。1960年生まれ。26歳から本格的にウエイトトレーニングを開始し現在進行形、雑誌「Tarzan」でも紹介される。身長170センチ、体重60キロ、体脂肪率5.9%(2014年2月22日時点)。「Number」などの雑誌でトップアスリートやトレーニングコーチたち、さらにサッカーワールドカップ、オリンピックなど国際大会を数多く取材。ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞を獲得。同作品は2000年に書籍化され、「文藝春秋が選ぶスポーツノンフィクション単行本部門第1位」にも輝いた。著書に、『ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重』(講談社)、『うまい日本酒はどこにある』(草思社文庫)などがある。近著は『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)。
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