カルチャー
2014年10月1日
いますぐ実践!「自重トレ」で自らの筋肉と対話
[連載] 50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ【5】
文・増田晶文
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体脂肪率などの数値に惑わされるべからず


 あと、数字に惑わせてはいけません。私がこの7月26日にジムで計量したら体脂肪率6.8%。体重は58.4キロで、スリーサイズが上から97、73、89センチでした。

 ただ――私はこういった数値を、健康づくりの目安程度に思っていても、ナニがなんでも向上させる! とシャカリキにはなっていません。

 体脂肪率を測るのはワンシーズンに1回くらい。毎日、体脂肪計にのっているわけじゃありません(しかもウチのヘルスメーター、2年ほど前から体脂肪測定機能が壊れてまして......体重しか測れません)。

 数値や数字は、偏差値とか給料といっしょで、とてもわかりやすい指標なんですが、これに惑わされるのは本末転倒。それより自分の感覚とか体調を重視すべきです。

 ちなみに先週の土曜日、私は大阪に出張していたんですが、ひどい二日酔いで終日ベッドの上で唸っていました。

 こんな日の体重や体脂肪はどうかと、ホテルにあったヘルスメーターに乗ったら体重59.2キロ、体脂肪率7%とマアマアの数値でした。

 これは極端な例ですが――胃が悲鳴をあげ、肝臓がヘトヘトになっていることはこの数値じゃ絶対にわかりませんよね。

 手前味噌になりますが、筋トレを何年も続けて「筋肉と対話」できるようになると、体重や体脂肪率ではなく、生身の自分の身体が語りかけてくる声に気づくようになります。

 実は筋トレとする最大の意義は、この「筋肉と対話できる」、ちょっと偉そうないいかたを許してもらえるとしたら「自分自身と語り合える」きっかけをつかめることなんです。

ジムにいかなくても、自重トレでOK


 筋トレは自宅でもできます。もちろん、ご近所の公営の運動施設やフィットネスクラブに入会されるのもいい。

 公営トレーニング施設は、だいたい1回540円(税込)くらい、定期パスを利用すればもっと割安。フィットネスクラブも、たいていは入会金ゼロで月に1万円ほどが基準。私は現在、自宅から徒歩10分の大手フィットネスクラブのメンバーです。

 設備、スタッフ、経営方針、メンバーのマナー......100点満点で66点てな感じのジムですが、わざわざ遠くまで通うつもりはないので......数少ないながら〝ジム友〟だっているし、今後もこのジムを活用させていただくつもりです。

 そんな私も、仕事や旅先でジムにいけない場合は自室でトレーニングしています。その具体例を2つ紹介しましょう。

(1)プッシュアップ(腕立て伏せ)

プッシュアップ(腕立て伏せ) ※クリックすると拡大

 胸(女性のバストアップにも)、上腕三頭筋(二の腕の力こぶの裏側の大きな筋肉、女性が悩む〝振袖〟の部分)、三角筋(肩の筋肉)を鍛えます。
 体育でやった「腕立て伏せ」ですが、実にバリエーションが豊富で効率よくトレできます。
 手幅は肩幅より少し広いくらいがノーマル。これを狭くすると腕に、広くすれば肩に強い負荷がかかります。背中や膝を曲げずにまっすぐになってリズミカルに行うのが理想ですが、筋力のない人は膝をついてもかまいません。まずは無理せずできる回数からスタートしてください。

(2)スクワット

スクワット ※クリックすると拡大

 脚の筋肉は巨大ですからエンジンとしての筋肉を大きくするには最適。ダイエットにも向いています。サルコペニアやロコモシンドローム予防効果もあります。
 基本は肩幅よりやや広く足をひらいて、つま先をやや外側に。
 腕は頭の後で軽く組むか、だらんとさげていてもかまいません。腰がそると痛みのあるひとは胸の前で組むといいでしょう。
 視線は正面、背筋を伸ばしたままゆっくりしゃがみこみます。この際、お尻が踵につくまでしゃがみこめるなら理想ですが、膝や足首が痛かったり、バランスが崩れるようなら途中まででもかまいません。
 足の幅を狭めると太腿の前部(大腿四頭筋)に強い刺激がきます。足の幅を広げると太腿の内側に強い刺激がきます。
 しゃがみこんでいくとき、膝の裏にボールを挟んでいるイメージをすると、膝周りの筋肉や太腿の裏側の筋肉(大腿二頭筋)に強い刺激を感じることができるはず。

 プッシュアップ、スクワットともリズミカルに行います。早めに数多くこなしてもいいですが、私はゆっくりと筋肉を意識しながら行っています。呼吸は動作中、息を止めないこと。

 このほかにも『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)には、自重トレからバーベル、ダンベルを使った主な筋トレ、さらにはストレッチまで詳細してあります。

 中高年からの筋トレは、無理せず週2回から3回。一生続けることで、きれいな姿勢、10歳若返った肉体、そして前向きな気持ちが手にはいります!

(了)





50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ
こうすれば愉しく無理せずに続けられる
増田晶文 著



【著者】増田 晶文(ますだ まさふみ)
作家。1960年生まれ。26歳から本格的にウエイトトレーニングを開始し現在進行形、雑誌「Tarzan」でも紹介される。身長170センチ、体重60キロ、体脂肪率5.9%(2014年2月22日時点)。「Number」などの雑誌でトップアスリートやトレーニングコーチたち、さらにサッカーワールドカップ、オリンピックなど国際大会を数多く取材。ボディビルダーたちを主人公にした著書『果てなき渇望』で文藝春秋Numberスポーツノンフィクション新人賞を獲得。同作品は2000年に書籍化され、「文藝春秋が選ぶスポーツノンフィクション単行本部門第1位」にも輝いた。著書に、『ジョーの夢 新島襄と徳富蘇峰、そして八重』(講談社)、『うまい日本酒はどこにある』(草思社文庫)などがある。近著は『50歳を過ぎても身体が10歳若返る筋トレ』(SB新書)。
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