カルチャー
2015年1月16日
えっ?万病の予兆は「首こり」に現れる
[連載] 体の不調は「首こり」から治す、が正しい【1】
文・三井 弘
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スマホ普及で急増の「首こり」


 この10年ぐらいの間で、私の整形外科クリニックに来院される患者さんに変化が見られるようになりました。
 以前は膝や腰を痛めてやって来る方がほとんどだったのに、肩から首にかけての不調を訴える方が大変に増えてきたのです。

 そうした患者さんたちの原因は、ほとんどが「首」にあります。すなわち、首が悪くて痛みや不調につながっている方が増えている傾向にあるのです。

 私は首に関する本の出版などを通して、10年以上前から首の問題に警鐘を鳴らしてきましたが、正直に告白すると、現在のような首こり患者さんの急増は想像もしていませんでした。

 背景には、パソコン・モバイルツールの普及と働く環境の変化が大きく関わっているようです。

 老若男女を問わず、誰もがパソコン・モバイルツールを日常的に使用するようになり、職場では事務的作業のすべてがパソコンで行われています。
 約10年前と比べても、今は同じ姿勢を取り続けたまま、長時間パソコンなどを使う場面が圧倒的に多くなりました。それが首を痛める人を増やしている一因と考えられます。

 長年ひどい肩こりに悩まされ、マッサージや整体を渡り歩いても症状が改善されず、思い余ってやって来られる方は後を絶ちません。なかには頭痛やめまい、手足のしびれを伴っている方もいます。

 皆さんに共通するのは、自身を悩ませているのが、肩の筋肉がこっている「肩こり」だと考えていることです。
 しかし筋肉疲労である肩こりと、首を原因とする肩こりはまったく別のものです。

 もしも首に原因があった場合、それに気づかないままでいると、やがて全身にさまざまな不調が出てきます。痛みやしびれはもちろんのこと、精神不調や体の麻痺、最悪の場合は命の危険もあります。

 首こりはあらゆる不調を招く「万病の元」といってよいのです。

 首に起因する症状の大半は、「肩こり」や「頭痛」といった首とは関係のない場所に出やすいこともあって、自分の首が傷んでいることに気づく人はなかなかいません。
 そのため来院されたときには首の状態が重症化しているケースも目立ち、かねてから、その現状を何とかしたいと思い続けてきました。

 この連載は、一人でも多くの方に首こりの深刻さと首をいたわることの大切さを知っていただきたいとの思いから書いたものです。

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体の不調は「首こり」から治す、が正しい
三井 弘 著



三井 弘(みつい ひろし)
1943年、岡山県岡山市生まれ。1970年、東京大学医学部を卒業。同整形外科入局。1977年より三井記念病院勤務。1984年「三井式頚椎手術器具」を開発。三井記念病院整形外科医長を経て、現在、三井弘整形外科・リウマチクリニック院長。専門分野は脊椎、関節(人工関節)。日本リウマチ学会評議員。著書に『体の痛みの9割は首で治せる!』(角川SSC新書)、『首は健康ですか?』(岩波アクティブ新書)など多数。