カルチャー
2015年2月13日
「首が太くて短い人」は首の健康に要注意!
[連載] 体の不調は「首こり」から治す、が正しい【11】
文・三井 弘
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首の故障を起こしやすい人の特徴


 首の故障は、起こりやすい人と比較的起こりにくい人がいます。
 その違いは主に体格的なもの、職業的なものに関係します。

 体格的なことから言えば、整形外科医として首の健康に気をつけてもらいたいのが、「首が太くて短い人」です。

 頭というのは私たちが考える以上に重さがあります。個人差はありますが、その重さは体重の約10パーセント、だいたい5~8キロとも言われています。頭蓋骨の重さまで含めると、人によっては10キロ前後にまでなるとされています。

 お米5キロでさえ持ってみると結構な重さですし、10キロともなればその倍。相当な重さです。その重い頭を私たちは365日、首だけで支えているわけです。

首が細くて長い人のほうが首のトラブルは少ない!
(c)山原恭子

 そう考えると、「頭を支える首は、太くて短いほうが安定してよいのではないか?」と思うかもしれません。ところが首については、細くて長いほうが故障が少ないのです。

 その理由は、テコの原理と似ています。棒を使って大きな石を動かそうとしたとき、短い棒を使うよりも、長い棒を使うほうが、小さな労力で石を動かすことができるというのがテコの原理です。

 私たちの頭も、首という〝棒〟が始終動かしています。重い頭が動くとき、長い首であれば動かすときの力が分散され、首にかかる負担も小さく済みます。反対に首が短いと、かかる力が大きくなって首への負担も大きくなり、故障の可能性もその分高くなるのです。

 また、首への負担が大きくなるという意味では、頭の大きい人も、そうでない人と比べてリスクがあります。それだけ頭の重さが増すためです。
 体格的なものはもって生まれた特徴ですから、努力で変えられるものではありません。それだけに「自分の首は短いようだ」「人より頭が大きめだ」と感じた方は、日頃から特に首の健康を意識していただきたいと思います。

下を向く機会の多い職業も要注意!


 もう一つの職業的な原因としては、下を向いてやる作業、首を前に曲げる姿勢が長い作業、首を前後に頻繁に動かす作業、これらが顕著な仕事ほど、首に負担がかかりやすいということです。

 例を挙げると、農業、板金・塗装業、自動車修理業、清掃業、事務の仕事、IT関係の仕事などがあります。

 もちろん、その仕事で生活の糧を得ている以上、「首に悪いから仕事をやめなさい」と言われても、そういうわけにはいかないでしょう。ですからせめて、長時間同じ姿勢を取り続けないということだけは心がけてください。

 2時間仕事をしたら、違う体勢でほかの作業をやる。あるいは休憩して姿勢を伸ばす。
 こうしたことを取り入れるだけでも、首への負担が軽減されます。首の健康を守るためにも実践してほしいと思います。

(第11回・了)
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体の不調は「首こり」から治す、が正しい
三井 弘 著



三井 弘(みつい ひろし)
1943年、岡山県岡山市生まれ。1970年、東京大学医学部を卒業。同整形外科入局。1977年より三井記念病院勤務。1984年「三井式頚椎手術器具」を開発。三井記念病院整形外科医長を経て、現在、三井弘整形外科・リウマチクリニック院長。専門分野は脊椎、関節(人工関節)。日本リウマチ学会評議員。著書に『体の痛みの9割は首で治せる!』(角川SSC新書)、『首は健康ですか?』(岩波アクティブ新書)など多数。