スキルアップ
2014年8月6日
漢字「通」なら答えられて当たり前!? 動物を使った四字熟語クイズ
[連載] 読むだけで人間力が磨かれる、大人の漢文【番外編】
監修・田部井文雄
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Question3 「首_両端」(難易度 中)


Answer

 この下線部に入る漢字は、「鼠(ねずみ)」です。全体で「しゅそりょうたん」と読みます。「首鼠」とは、ネズミが穴から首を出していること。それに「両端」が付くわけですから、ネズミがそうやって左右をキョロキョロ見ている、というのです。

 この四字熟語は、中国古代の歴史を記した『史記』という書物に出て来ます。

 紀元前2世紀の、前漢王朝の時代。魏其侯(ぎきこう)と武安侯(ぶあんこう)という二人の有力者が、朝廷で言い争いをしたことがありました。それを聞いていた韓安国(かんあんこく)という大臣は、どちらの言い分も一理ある、という感じで、どちらに味方するか、態度をはっきりとさせません。

 腹を立てた武安侯は、朝廷から外に出ると、韓安国を呼び寄せてこう言いました。

 「あなたと一緒にあの老禿翁(ろうとくおう)をやっつけようと思っていたのに、どうして首鼠両端の態度を取るんだ?」

 「老禿翁」とは、ハゲオヤジということ。政敵をハゲオヤジ呼ばわりし、大臣はネズミ扱いにするのですから、武安侯の怒りの度合いがよくわかります。

 この話から、形勢を見ていて、なかなか決断が下せないことを、「首鼠両端」というようになりました。

 この四字熟語も、たとえがうまいですね。ちっちゃなネズミが頭を出してキョロキョロしているようすを思い浮かべると、ちょっと笑ってしまいそうです。仲の悪い上司の両方にいつもおべっかを使っているような人物を見かけたら、「あいつはいつも首鼠両端だから信頼できない」と言ってやりましょう。

Question4 「風声_唳」(難易度 高)


 答えは次のページで





読むだけで人間力が磨かれる、大人の漢文
こんな場面で使いこなしたい!
田部井文雄 監修



【監修】田部井文雄(たべいふみお)
1929年生まれ。東京教育大学大学院修士課程修了。都留文科大学、千葉大学教授を経て、現在、湯島聖堂斯文会参与。『大漢和辞典』を初めとする漢和辞典、高校教科書などの編集に数多く携わり、NHKラジオ、テレビの放送なども担当。現在は、朝日カルチャーセンターや湯島聖堂斯文会などで、漢詩文に関する講義を行っている。主な著書に、『唐詩三百首詳解(上・下)』『中国自然詩の系譜』『四字熟語物語』(いずれも大修館書店)、『陶淵明集全釈』(共著、明治書院)、『漢文塾 漢字文化の魅力(上)』『漢詩塾 漢字文化の魅力(下)』(いずれも明治書院)など。また、『親子で楽しむこども論語塾』(明治書院)、『絵でみる論語』(日本能率協会マネジメントセンター)、『読むだけで人間力が磨かれる、大人の漢文』(SB新書)などの監修も務めている。
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