カルチャー
2015年1月16日
保険は「何に?」ではなく、「入る」「入らない」から考えよう
[連載] 保険ぎらいは本当は正しい【1】
監修・横川由理 文・長尾義弘
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"保険大好き"日本人の実態


 日本人は世界的に見ても保険好きな国民です。
 ある調査によると、日本人の生命保険の世帯加入率は何と約90%です(「平成24年度 生命保険に関する全国実態調査」保険文化センター)。

 生命保険の普及率はアメリカで78%、イギリスで40%という調査(朝日新聞デジタルビジネスセンター記事「ご存知ですか? 保険の最新事情」)もあり、日本が非常に高いことがわかります。保険料の金額でもダントツのトップです。

 実際のところは、保険の内容をよく調べたり、比較検討したりしないで、人から勧められるまま契約したり、あるいはテレビのCMでよく見る保険に入ったりする方が多いのではないかと思います。

 その証拠に、「あなたは、今、どんな保険に入っていますか? その保険の保障内容はどんなものですか?」という質問をすると、きちんと答えられる方がほとんどいません。
 あなたは同じように聞かれたら、すぐ回答できるでしょうか?

 なぜそうなるのかというと、本来は最初に考えておくべき選択、言わば保険を考える上での基礎とも言える選択を、抜かしてしまっているからです。

 その選択とは、「保険に入るか、入らないか」です。

いきなり「何の保険に入るか」は間違い


 この選択について熟考し、「保険に入る」ことを選んだら、その次に、「ではどの保険に入ろうか?」と考えるのが、正しい順序です。

 ところが、多くの方は、「何の保険に入ろうか?」と考えるところからスタートしてしまい、「保険は必要なのか」という選択肢が最初から抜けているのです。

 「医療保険はどこのものがいいのか?」「学資保険はどれにすべきか?」「死亡保険は何を選ぶか?」と問う前に、

「医療保険は必要なのか?」
「学資保険は必要なのか? それに代わるお得な方法はないのか?」
「死亡保険は必要か? 誰のために、いくら必要なのか?」

 といったことを、まず考えてみるべきなのです。

 もちろん、保険が必要で役に立つこともあります。
 たとえば、がんになったり、介護が必要になったときには保険が役に立つでしょう。
 保険に、全然入る必要がないというのではなく、本当に困ったときに役に立つのはどれかということを考えなければならないということです。

 この連載では保険を考える・選ぶ上でのヒントを提供できればと思います。

(第1回・了)





保険ぎらいは本当は正しい
横川 由理 監修/長尾 義弘 著



【監修者】横川由理(よこかわゆり)
FPエージェンシー代表、CFP、証券アナリスト、MBA(会計&ファイナンス)。お金の知識を広めることをライフワークとして、ファイナンシャル・プランニング技能士資格取得講座、マネー講座、執筆などを中心に幅広く活動している。著書に『50歳から役に立つ「お金のマル得術」』『老後にいくら必要か?』『アベノミクスで変わる「暮らしのお金」の○と×』(以上、宝島社)など多数。監修には「別冊宝島」の年度版シリーズ『よい保険・悪い保険』などがある。
http://fp-agency.com/

【著者】長尾義弘(ながおよしひろ)
ファイナンシャルプランナー、AFP。お金のしくみ、保険のカラクリについての得する情報を発信している。徳島県生まれ。大学卒業後、出版社に勤務。いくつかの出版社の編集部を経て、1997年にNEO企画を設立。出版プロデューサーとして数々のベストセラーを生みだす。著書に『コワ~い保険の話』(宝島社)、『こんな保険には入るな!』(廣済堂出版)、『商品名で明かす今いちばん得する保険選び』(河出書房新社)などがある。
http://neo.my.coocan.jp/
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