カルチャー
2015年3月4日
仕事でミスが増えたら1分仮眠を取ろう
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【7】
文・坪田 聡
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瞑想のような1分間の「マイクロ・ナップ」


 電車での移動中などに分単位で時間ができたら、1分仮眠(マイクロ・ナップ)を取りましょう。
 もちろん、たった1分間の仮眠だけで、眠気スッキリの毎日を過ごせるわけではありません。

 夜はできるだけ質のよい睡眠を6時間以上取り、昼休みには必ず20分の昼寝(パワー・ナップ)をし、少しでも時間があるときには10分仮眠(ミニ・ナップ)を取る。そのうえで、さらに短いスキマ時間を見つけて、1分仮眠を行ってください。

 1分仮眠は昼夜を問わず、いつ取ってもかまいません。そして、強い眠気を感じる前に仮眠することがポイントです。

 つまり、眠気を先取りするのです。眠気が強くなってしまっては、1分で起きられなくなるかもしれません。ミスが増えたり、集中力が続かなくなったりしたときが、1分仮眠のベストタイミングです。

 気持ち的には、「いつでもどこでも眠るぞ!」という心構えでいてください。たった1分ですから、オフィスでなくても時間を作れます。会社のなかなら、トイレに座ってでも、仮眠は取れます。

 山手線は1駅分の所要時間が1~3分ですから、絶好の1分仮眠タイムです。仮眠に対する積極的な気持ちが、あなたの脳を守ってくれます。

昼夜問わず何度でも取り入れたい「マイクロ・ナップ」


昼夜問わず何度でも取り入れたい「マイクロ・ナップ」
(c)山原恭子 ※クリックすると拡大

 今は仕事中でしょうか? それとも移動中でしょうか?
 まずは今いる場所で、1分仮眠を取りましょう。

 背中は椅子の背もたれにもたれかかって、アゴは少し引いて首を安定させます。
 両手は胸の前や脚の上で組むか、椅子の肘掛けや机の上に載せます。膝や足首は90度に曲げて、足の裏をしっかり床にくっつけます。

 電車のなかなどでは揺れますから、眠っているあいだに椅子からすべり落ちたり、横に倒れたりしないよう、なるべく安定した姿勢を取ってください。
 また、起きた後に体が痛くならないように、注意を払う必要もあります。

 はじめのうちは、仮眠の前にスマートフォンなどでアラームをセットしましょう。寝すごしてヒンシュクを買うと、次から仮眠しにくくなります。

 もう一つ、時間どおりに目覚めるために大事なことは、「1分で目を覚ますぞ!」と強く思うことです。

 これは「自己覚醒法」の応用です。私たちはみな、体内時計を持っています。この体内時計で経過時間を知り、希望の時刻に目覚めるのが自己覚醒法です。
 「1分後に目覚める」という強い思いが、深層心理に刻み込まれると、それが実現するように体が目覚める準備をしてくれます。

 目覚めたら、前向きな言葉を自分にかけましょう。
 「しまった、居眠りしてしまった」「眠ってムダな時間を使ってしまった」ではなく、「仮眠した分、体力が回復した」「眠る前よりも頭がスッキリした」という言葉を口に出して、自分を励ましてください。

(第7回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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