カルチャー
2015年3月6日
20分以内の仮眠はむしろ午後の効率を上げる
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【8】
文・坪田 聡
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20分以内の仮眠で脳がもっと冴えだす!


 日本では、仮眠に関する研究がとても盛んです。主に、交通事故や産業事故を減らしたり、仕事の効率を高めたりするためにはどうしたらよいのか、という研究の一環として行われています。

 眠気は1日のなかで2回のピークがあり、午前2~4時に大きなピークが、午後2~4時に小さなピークが訪れます。
 昼間のピークは体内時計による眠気の変化なので、昼ご飯を食べても食べなくても、午後になると眠気に襲われます。

 お昼からの眠気を予防するために、短時間の昼寝が勧められているのはすでに説明したとおりです。若年者までは15~20分、中高年では30分の昼寝をすると、脳がリフレッシュして作業効率がよくなり、ミスも減ります。

 ただし、これ以上の長い仮眠を取ると、眠りが深くなりすぎて逆効果です。また、遅い時刻の仮眠は夜の睡眠に悪影響を与えるので、午後3~4時頃には目覚めるようにしましょう。

疲労回復にちょうどいい10分の「ミニ・ナップ」


会議の始まる10分前にお勧めな「ミニ・ナップ」
(c)山原恭子 ※クリックすると拡大

 睡眠不足はそれほどひどくない人でも、毎日10分の仮眠(ミニ・ナップ)をぜひ習慣化してください。

 では、どうして「10分」なのでしょうか?

 これまでの研究から、10分以上の仮眠を取ると眠気や疲労感が減り、活気が充実するという客観的なデータが得られているからです。
 また、論理的な思考能力や車の運転技能も向上します。つまり、10分仮眠は脳をリフレッシュしてくれるのです。

 まず、10分間の仮眠を取るためにすることは、場所選びです。オフィス以外に、カフェや電車のなかでも眠れます。安定した姿勢が取れて安全な場所なら、どこでもかまいません。

 逆に、商談の直前は注意が必要です。10分で目覚めればよいのですが、寝すごしてしまっては大ヒンシュクです。

 時間帯は、朝でも昼でもかまいません。一般的に夜の仮眠はよくないとされていますが、10分程度なら許容範囲です。家にいるときなら、すぐに寝床に入って眠り直せばよいのです。

 遅くまで仕事をした後は、電車やバスのなかでも10分の仮眠を取りましょう。ただし、ここで一気に長い時間、爆睡してしまうと、家に帰ってから眠られなくなってしまいます。
 ですから、短時間の仮眠と覚醒を繰り返す「ウトウト状態」を保つことが大事です。もちろんそうなる前に、夜の睡眠と日中の仮眠をしっかり取るように心がけましょう。

 10分仮眠から目覚めたら、大きく伸びをして、思いっきりアクビをしてください。アクビもそうですが、筋肉が引き伸ばされるとその信号が脳に伝えられて、覚醒度が上がります。

 ほかにも、窓際や屋外で日光に当たったり、冷たい水で顔を洗ったりして、しっかり眠気を追い払いましょう。
 仕事や勉強の効率を上げることが仮眠の目的ですから、仮眠の後はなるべく早く頭をスッキリさせてください。

(第8回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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