カルチャー
2015年3月12日
仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[連載]
脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【10】
文・坪田 聡
パワー・ナップの前にカフェインを摂る
目覚めに一杯、あるいは退屈な会議のときに一杯と、眠気覚ましの飲み物と言えばまず、コーヒーやお茶などのカフェイン飲料が思い浮かびます。
では、どのようなメカニズムで、カフェインが眠気を取ってくれるのでしょうか?
脳のなかで働く睡眠物質の一つに「アデノシン」があります。
アデノシンは脳の活動を抑えたり、脳にある睡眠の司令塔に働きかけたりして、脳全体を眠らせます。このため、アデノシンが脳にたまってくると眠気が強くなってくるのです。
カフェインは、アデノシンが細胞に作用することを邪魔して眠気を減らします。つまり、本当は眠たいのに、眠気を感じさせなくするのです。
また、脳の「報酬系」という部分を刺激して、起きているのが楽しく何となくハイな気分にして、覚醒度を上げてくれます。
このように覚醒度を上げてくれるカフェインですが、昼食の後に20分ほどの仮眠(パワー・ナップ)を取るとき、カフェインは眠る前に摂ったほうがよいと思いますか? それとも、目覚めた後に摂ったほうがよいと思いますか?
多くの人は、昼寝の後にカフェインを摂っているようです。でも、仮眠からいち早く目覚めて、脳のパワーを全開にするためには、仮眠の前にカフェインを摂るほうがずっと効果的なのです。
「そんなことをしたら、昼寝ができなくなるのでは?」という心配はいりません。
ホットコーヒーの場合、飲んでからカフェインの覚醒効果が現れるまで、20~30分かかります。つまり、昼寝の前にカフェインを摂っておくと、ちょうど20~30分後に目覚めやすくなるのです。
暑い時期にはアイスコーヒーやアイスティーを飲みますが、この場合は少し注意が必要です。アイスコーヒーを飲むと、カフェインの吸収が遅くなるからです。そのため、カフェインの血中濃度は、1時間ほど後にやっと最大値に達します。
ですから、効率的なパワー・ナップを取るためには、アイスコーヒーやアイスティーはランチを食べる前に飲んでおく必要があります。
眠りたくないから、あるいは眠る時間がないからといって、コーヒーをガブ飲みするのは考えものです。毎日5~10杯以上のコーヒー(カフェインにして500~1000ミリグラム)を飲み続けると、「カフェイン中毒」になりやすいからです。
カフェイン中毒になると、頭がスッキリするという段階を超えて、不眠や不安、せん妄、けいれん、不整脈などに苦しめられます。
また、甘い缶コーヒーをたくさん飲んでいる人は、「缶コーヒー症候群」になる危険があります。缶コーヒー症候群では、「高カロリー飲料をたくさん飲む→肥満になる→ノドに脂肪がつく→眠っているあいだに息が止まる→さらに日中の眠気がひどくなる」という悪循環に陥ってしまいます。
何事も「過ぎたるは及ばざるがごとし」ということです。
[連載]脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠 記事一覧
[1]睡眠難民を救う、毎日の積極的な「仮眠」
[2]ナポレオンやエジソンも実践していた! 昼間の「仮眠」でフルチャージ!
[3]たった3秒の「瞬間」仮眠でも効果はある
[4]毎日30分の「正しい仮眠」で、認知症が予防できる
[5]「仮眠」は目的によって長さを変えるのが正解
[6]ひらめきやアイデアは「仮眠」から生まれる!
[7]仕事でミスが増えたら1分仮眠を取ろう
[8]20分以内の仮眠はむしろ午後の効率を上げる
[9]仮眠のゴールデンタイムは正午から午後3時まで――パワー・ナップのすすめ
[10]仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[11]正しい「朝の二度寝」は、ストレス解消に最適!
[1]睡眠難民を救う、毎日の積極的な「仮眠」
[2]ナポレオンやエジソンも実践していた! 昼間の「仮眠」でフルチャージ!
[3]たった3秒の「瞬間」仮眠でも効果はある
[4]毎日30分の「正しい仮眠」で、認知症が予防できる
[5]「仮眠」は目的によって長さを変えるのが正解
[6]ひらめきやアイデアは「仮眠」から生まれる!
[7]仕事でミスが増えたら1分仮眠を取ろう
[8]20分以内の仮眠はむしろ午後の効率を上げる
[9]仮眠のゴールデンタイムは正午から午後3時まで――パワー・ナップのすすめ
[10]仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[11]正しい「朝の二度寝」は、ストレス解消に最適!
【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。