カルチャー
2015年3月16日
正しい「朝の二度寝」は、ストレス解消に最適!
[連載]
脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【11】
文・坪田 聡
平日に睡眠が足りないときは「週末90分の仮眠」がベスト
これまで説明したように、平日は夜に6時間以上の睡眠を取り、午後に20分の昼寝(パワー・ナップ)をするのが原則です。
さらに少しでも時間があれば、数秒~10分ぐらいの仮眠を何回も取りましょう。
しかし、これだけの時間では、睡眠不足を解消しきれないかもしれません。
睡眠は1週間単位で考えましょう。
その週の睡眠不足は、その週のうちに解消すればよいのです。
平日に睡眠不足が残れば、休日にその分、しっかり眠りましょう。
とはいえ、休日の朝に遅い時刻まで眠っていると、体内時計がリセットされず、休み明けにつらい思いをします。
ですから、休日でも平日プラス2時間以内には一度、起きて寝床から出ましょう。しっかり目覚めた後に眠気が残っていれば、仮眠を取って、その週の睡眠不足を補います。
仮眠中も1周期=90分の睡眠リズムが見られますから、休日は90分の仮眠(ホリデー・ナップ)がお勧めです。
短時間の仮眠と違い90分の仮眠では、ソファやベッドなどに横になって眠るのがよいでしょう。もちろん、眠りすぎないようにするため、必ず目覚ましアラームをセットしてください。
休日なら、午前中にも仮眠を取れます。午前中の仮眠は、前の夜の睡眠不足を補う働きがあります。
休日の午後の仮眠は、時間帯に注意が必要です。もともと午後の仮眠には、その日の夜の睡眠を先取りする性質があります。
ですから、遅い時間まで眠っていると、夜に眠れなくなるなどの悪影響があります。休日午後の仮眠も、午後3時までには目を覚ましてください。
まとめて90分も時間が取れないときには、20分の仮眠を4、5回繰り返して取ってもかまいません。
仮眠の合計が90分前後になれば、まとめて仮眠したときに近い効果が得られます。
朝の二度寝は気持ちよい!
仕事柄、昼間に仮眠を取るのがどうしてもできない人もいると思います。そんな人には朝の「二度寝」を勧めています。
でも、睡眠の専門家のなかには、「二度寝は、質が悪い浅い睡眠が続くだけで、逆に体が疲れるからしないほうがよい」と言っている人がいます。
『朝の「二度寝」でストレスが消える!』(かんき出版)という本のなかでも書きましたが、実際には、二度寝はとても気持ちがよく、幸せな気分にもなれます。
では、どうして二度寝は、気持ちがよいのでしょうか?
その仕組みはまだ明らかではありませんが、これまでに知られていることから、その仕組みを考えてみます。
(1)睡眠不足が解消できる
5分でも10分でも二度寝をすれば、それだけ睡眠不足が減ることになります。昼間に取る短時間の仮眠が、頭をスッキリさせてくれるのと同じ効果が、朝の二度寝にもあります。
(2)夢の続きが見られる
朝方には、レム睡眠が多くなります。このレム睡眠中に、私たちは夢を見ています。楽しい夢を見ているときに少し目覚めて、また、楽しい夢の続きを見られると、いわゆる「夢うつつ」の幸せな気分になれます。
(3)外界からの刺激がソフトになる
深く眠っているときは脳に届かなかった外界からの情報が、眠りが浅くなるにつれて、少しずつわかるようになります。二度寝しているときに、ほんわかと感じる光や物音、布団の触感などが、天国にいる気持ちにさせてくれるのです。
(4)抗ストレス・ホルモンの働きがある
目覚める予定時刻の前後には、コルチゾールというホルモンがたくさん作られます。コルチゾールはストレスを和らげたり、幸せな気分にしてくれたりします。
では、どうしたら二度寝の達人になれるでしょうか?
そのためには、まず、部屋を明るくすることです。スッキリ目覚めなければ、せっかくの二度寝の幸福感が失われてしまいます。
一度、目が覚めたら二度寝する前に、部屋を明るくしましょう。
また、眠る前にエアコンなどのタイマーをセットして、朝の室温が16~26度になるようにしておきましょう。
さらに寝すぎないように注意しましょう。長い二度寝は体がだるくなり、逆効果です。 二度寝はせいぜい1~2回、10~20分にしておくべきです。
そして、二度寝の幸福感にひたったら、「あ~あ、また二度寝しちゃった」などと否定的に捉えずに、「ラッキー! 得したね」と前向きに考えましょう。
(第11回・了)
[連載]脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠 記事一覧
[1]睡眠難民を救う、毎日の積極的な「仮眠」
[2]ナポレオンやエジソンも実践していた! 昼間の「仮眠」でフルチャージ!
[3]たった3秒の「瞬間」仮眠でも効果はある
[4]毎日30分の「正しい仮眠」で、認知症が予防できる
[5]「仮眠」は目的によって長さを変えるのが正解
[6]ひらめきやアイデアは「仮眠」から生まれる!
[7]仕事でミスが増えたら1分仮眠を取ろう
[8]20分以内の仮眠はむしろ午後の効率を上げる
[9]仮眠のゴールデンタイムは正午から午後3時まで――パワー・ナップのすすめ
[10]仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[11]正しい「朝の二度寝」は、ストレス解消に最適!
[1]睡眠難民を救う、毎日の積極的な「仮眠」
[2]ナポレオンやエジソンも実践していた! 昼間の「仮眠」でフルチャージ!
[3]たった3秒の「瞬間」仮眠でも効果はある
[4]毎日30分の「正しい仮眠」で、認知症が予防できる
[5]「仮眠」は目的によって長さを変えるのが正解
[6]ひらめきやアイデアは「仮眠」から生まれる!
[7]仕事でミスが増えたら1分仮眠を取ろう
[8]20分以内の仮眠はむしろ午後の効率を上げる
[9]仮眠のゴールデンタイムは正午から午後3時まで――パワー・ナップのすすめ
[10]仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[11]正しい「朝の二度寝」は、ストレス解消に最適!
【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。