カルチャー
2014年12月12日
男性の更年期障害が増えている本当の理由
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【8】
文・本間龍介
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なぜ男性の更年期障害が増えているのか?


 一方、男性は女性ほど顕著に更年期障害が現れることは概して少ないです。
 なぜなら、更年期になると、男性も女性と同じく、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が精巣から副腎へとスイッチするのですが、ホルモンの分泌量が女性ほどガクンと落ちないからです。

男性ホルモンの分泌低下 ※クリックすると拡大

 とはいえ、近年では男性でも、更年期障害に悩まされる人が増えてきました。
 理由としては、多忙を極める仕事をはじめ、ストレスフルな生活を送っていて、副腎疲労が溜まっていることも原因の一つでしょう。

 精巣から分泌される男性ホルモンの低下に副腎が対応できずにいると、やはり男性ホルモンの低下を強く感じやすく、男性更年期特有の症状が現れやすくなります。

 また、テストステロンの低下は、まだまだ働き盛りの男性にとって大打撃になることも、この悩みを深刻にしています。
 というのも、記憶力、記銘力、計算力、計画性、意欲など、仕事をこなすうえで非常に大切な能力が、男性ホルモンの低下により落ち込んでしまうからです。

 そのため男性の更年期は、頭をしっかりフル稼働しないといけない仕事の場合、テストステロンの低下が大きな妨げになります。

 もともと仕事熱心で、頑張るタイプの男性ほど、副腎疲労を招きやすいので、男性の更年期障害になりやすいとも言えるでしょう。とすると、男性の更年期障害は、女性とは違った意味合いで、非常に由々しき問題です。

 女性と同様に、男性が精巣から分泌されるテストステロンの低下に悩まされないためには、首尾よくその役割を副腎にバトンタッチする必要があります。
 こうしてみると、副腎を元気に保つことが、男女ともに更年期を順調に乗り越えるための大きなカギだと言えるでしょう。

男性の更年期障害も副腎ケアから


 男性の更年期障害の原因は、ストレスによるところが大きいものの、それ以外の要因も考えられます。

 たとえば、副腎でDHEAまでは作れても、ビタミン不足だったり、化学物質によりブロックされると、そこから先の物質が作れません。つまり、テストステロンがとても低い状態になって、結果として、男性更年期の状態になってしまいます。

 また、テストステロンにとどまらず、エストラジオールと呼ばれるエストロゲンに含まれる成分に変化してしまうこともあります。
 というのも、男性の場合、ストレスでアルコールに走る人がたくさんいますが、そうすると、テストステロン→エストラジオールというベクトルが促されてしまうのです。

 そうなると、男性なのに女性ホルモンが強くなり、相対的にテストステロンの低下を感じてしまい、男性更年期障害を呈するのです。

 男性の更年期障害に関しては、徐々に認知されつつありますが、症状が出ていてもテストステロンの量を測ると意外に高いケースもあり、なかなか診断が難しいのが実情です。
 そのため現状では、ひとまずホルモン注射をしておきましょうという結論に落ち着きがちです。

 しかしながら、私たちの体は男女問わず、たくさんの種類のホルモンが分泌されていて、それらがシンフォニーのようにおのおのの役割を果たすことによって、心身ともに心地よい状態を生み出せるのです。

 そうであれば、ホルモン注射に頼ったりせずに、副腎をサポートすることによって、本来のホルモンバランスを整えるほうが理想的でしょう。

 更年期障害は、いつ、どんなふうに現れるのか見当がつかず、「自分はどうなるのだろう......」と、くじ運を祈るような気持ちでいる人が多いと思います。
 でも、実際はくじ運のようにランダムに起こるのではありません。あらかじめ準備をしておけば、スムーズに副腎にスイッチして乗り切れる可能性が高まるのです。

(第8回・了)








「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。
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