カルチャー
2014年12月19日
忘年会、肝臓の悲鳴は副腎疲労となって現れる!
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【10】
文・本間龍介
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アルコールでビタミンB群が枯渇状態になる


 お酒を飲むと、解毒のために大量のビタミンB群を消費します。たたでさえ、副腎疲労があるとビタミンB群が欠乏しがちなので、お酒はやはり控えるのが基本です。

 一方、お酒に関しては、疲れているからこそ、心の癒やしを求めて飲んでしまう側面が少なからずあります。
 ですから、疲れているときに限って飲みすぎたり、健康になると飲酒量が自然と減ったりするものです。

 たとえば、ビールのようなシュワッとする飲み物が好きであれば、スパークリングウォーターに変えてみるのも一つの手です。ペリエにライムなどを添えて、キュッと絞って飲むのもいいでしょう。

 比較的、女性はこうした代替品でお酒を控えられる人がいます。一方、男性はお酒を飲んで酔っ払うところまで含めて、セットとして求めている人が少なくありません。そういうタイプの人は、お酒を控えるのに難儀しがちですが、お酒に代わるストレス解消法を見つけるのが第一でしょう。

 また、寝酒は体調をさらに崩しやすいので望ましくありません。お酒を飲むのであれば、できるだけ食後に少し時間を置いてからがベターです。

 そのほか、「ビールやワインを1、2杯ぐらいなら......」などと、さほど量を飲まなければ問題ないのではないかという質問もよく受けます。
 しかし、解毒力は年齢とともに落ちてきます。また、平均すると食品添加物を年間一人4キログラムは摂っていると言われています。

 たとえ肝臓が丈夫な人でも、処理能力には限度があるので、こうした食品添加物が体内に入るだけで、かなりの負担をかけていると考えられます。
 コンビニ弁当もなければ、冷凍食品も少なかった、ひと昔前の人は、普段の食事から体に毒となる物質をこんなに摂っていなかったでしょう。

 肝臓の役割はアルコール分解だけではありません。お酒を飲んでいない人でさえ、肝臓のサポートは必須の時代です。
 解毒が上手な人もいれば、下手な人もいますが、どんな人でも毒が多ければ多いほど、肝臓は処理能力を超えてしまいます。

 さらに、都会に住んでいれば、空気汚染も避けられません。そして、年齢を重ねるほど、体内に重金属が溜まってくるので、肝臓の負担も増加します。
 ですから、お酒はどこまでなら飲んでも大丈夫、どこまで飲むとダメという基準はありません。

 お酒に限らず、私たちの身の回りには多種多様な毒が満ちている──この認識が大前提です。そのうえで、個々人がお酒とのつき合い方を見直してみることをおすすめします。

(第10回・了)








「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。
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