カルチャー
2015年2月20日
ナポレオンやエジソンも実践していた! 昼間の「仮眠」でフルチャージ!
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【2】
文・坪田 聡
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世界の偉人や著名人も実践していた昼間の「仮眠」


 19世紀に活躍し、「わが辞書に、不可能の文字はない」という言葉を残したフランスのナポレオン・ボナパルトは、夜に3~4時間しか眠らなかったと伝えられています。
 自分が短時間睡眠を実践するだけでなく部下にも勧め、睡眠時間に関して「3時間は勤勉、4時間は常識、5時間は怠惰」という言葉も残しています。

 しかし、ナポレオンは居眠りの天才でもありました。当時の主な移動手段は馬でしたが、ナポレオンはよく、馬に乗って揺られながら仮眠を取っていました。
 また、会議中にも居眠りをしていたようです。
 睡眠が不足しがちで、電車での移動や会議が多い現代のビジネス・パーソンには、お手本のような人ですね。

 アメリカの発明王、トーマス・エジソンも、短時間しか眠らなかったことで有名です。彼は、「4時間以上眠ると、気分が悪くなる」とまで言っていました。
 アイデアがひらめくと、2~3日徹夜して研究し続けることがしばしばあったくらいです。そのため「睡眠は時間の浪費だ」が口ぐせでした。

 しかし彼も、1日に4時間しか眠らなかったわけではありません。夜の睡眠は短かったのですが、日中には短時間の仮眠を繰り返し取っていました。
 ですから1日のトータルの睡眠時間で見ると、普通の人並みに眠っていたようです。

 『裸の王様』や『ベトナム戦記』『オーパ!』などを書いた開高健。小説家、ノンフィクション作家、そして釣り人としても有名だった彼は、夜はほとんど眠らず、眠くなったらごろりと横になり、1時間半眠る生活でした。
 1日の総睡眠時間は不明ですが、生体リズムに一致した90分の睡眠を1日に何回も取ることで、充実した人生を送っていたというわけです。

アメリカではもはや常識!「パワー・ナップ」の驚くべき効果


 アメリカ航空宇宙局(NASA)では、宇宙に関するあらゆる研究が行われています。そのなかの一つに、宇宙飛行士の睡眠に関する研究があります。

 睡眠と言っても、睡眠時間や睡眠の方法など、広い分野の研究が行われておりますが、仮眠に関する研究もあります。それによると、26分間の昼寝をすると、パイロットの能力が34パーセント以上も向上するそうです。

 このレポートを受けて欧米の多くの航空会社は、事故を起こさないために「戦略的仮眠」を取るよう、パイロットに勧めるようになりました。ビジネス界では意識的に取る仮眠を、「パワー・ナップ」と呼んでいます。

 そして多くの企業で、仕事のパフォーマンスを上げるために、積極的に仮眠が取れるように体制を整えています。たとえば、あのマイクロソフト社の本社には、1000万円以上もする仮眠用ポッドが設置されているようです。

(第2回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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