カルチャー
2015年2月23日
たった3秒の「瞬間」仮眠でも効果はある
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【3】
文・坪田 聡
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時間・場所を問わず「瞬間」仮眠で頭スッキリ!


 昼食後の会議などで集中力が途切れたときに、カクッと瞬間的に眠ってしまうことがあります。あれを「マイクロ・スリープ」と呼びます。

 マイクロ・スリープは「微小睡眠」とも言われるもので、本人は起きているつもりでも、数秒から10秒間ほど睡眠状態に陥ります。
 ナルコレプシーなどの過眠症の症状の一つとして出現することもありますが、健康な人でも睡眠不足がひどくなると起こることがあります。

 起きている時間が長くなると、脳に睡眠物質がたまってきます。睡眠物質は「脳を休ませる=眠らせよう」としますが、起きていようという意識が強いと、すぐには眠り込みません。

 ところが睡眠不足が高じてくると、休ませなければ脳が壊れてしまう限界にきます。そこで脳は優先順位をつけて、重要性の低い部分から機能を低下させていきます。
 さらに睡眠不足がひどくなると、脳全体を短時間だけ休ませる戦略を取ります。これが、マイクロ・スリープです。

 眠るためには目を閉じる必要がある、とは限りません。睡眠時間が極度に不足していると、人に話しかけられても気がつかないことがあります。一瞬、意識が飛んだ状態になったこのときに、マイクロ・スリープが起こっているのです。

 かつて不眠記録に挑戦したガードナー君は、早朝などに眠気がとても強くなったとき、ほんの短い間だけ目を閉じていると、眠気が減って頭がクリアになりました。おそらくこのときに、マイクロ・スリープが起こっていたのでしょう。

 仮眠は夜間の睡眠を補うものとして、最近では睡眠の専門家も勧めています。マイクロ・スリープも超短時間の仮眠と考えて、意識的に秒単位の仮眠を取ることを提案します。

「瞬間」仮眠に適した時間帯 ※クリックすると拡大

 この超短時間の仮眠を、「瞬間」仮眠と呼ぶことにしました。この「瞬間」仮眠は、睡眠の質を向上する新しいスキルとして実行してみてください。

 「瞬間」仮眠は、どんな状況や場所でも取れます。
 たとえば、デスクでの仕事中に考えているふりをしながらとか、スキマ時間に公園のベンチに座ってなど、いつでもどこでも実行できます。そして、目覚めた後は眠気が減り、頭がスッキリしていることに気づくでしょう。

 そのため、超短時間でどうしても眠気を覚ましたいときには、「瞬間」仮眠を取ることをお勧めします。特別な準備もなく、数秒間で眠気が軽くなれば、うれしいですよね。

(第3回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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