カルチャー
2015年2月27日
「仮眠」は目的によって長さを変えるのが正解
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【5】
文・坪田 聡
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仮眠はいつ取るのが最適か?


 眠気には1日のなかでリズムがあります。
 大きな眠気のピークは1日2回、午前と午後のそれぞれ2時~4時頃に現れます。
 さらに1~2時間ごとに、眠気の小さな波があります。もっと細かく見ると、10~20分ごとに小さいとはいえ、眠気が強くなったり弱くなったりします。

 ひどい眠気に襲われても、何とかしのいでいると、そのうちにスーッと眠気が引いていった......。こんな経験をしたことがあると思います。こういうときは、眠気の小さな山を一つ乗り越えているのです。

 眠気のリズムから言うと、午後の眠気のピークである2時から4時に仮眠を取るのが最もよいのですが、普通のビジネス・パーソンにとって現実的ではありません。

 ですからお勧めなのは、ランチタイムに20分の「パワー・ナップ」を取ることです。
 眠気のピークの前に仮眠することで、午後の眠気を先取りして解消できます。ビジネス・パーソンにとって、ランチタイムのパワー・ナップはマストと言えます。

 もし、夜に十分な睡眠が取れていて、日中の眠気が強くないのであれば、ランチタイム以外に仮眠を取る必要はありません。
 しっかり目覚めていて、頭もスッキリしているあいだは、頭をフル回転で使うほうがお得です。ただし、眠気のサインを感じたら、早めに仮眠を取りましょう。

 あくびが出たり、まぶたが重くなってきたりする以外にも、眠気のサインはあります。
 「頭がボーッとする」「考えがまとまらない」「判断力が鈍る」「やる気が出ない」「集中力がすぐに途切れる」「ミスが増える」「感情のコントロールがきかない」「動作がのろくなっている」「何をやってもうまくいかない」......。
 こんなときは、すでに脳の働きが落ちています。すぐに仮眠を取る態勢に入りましょう。

 短い仮眠のよいところは、1日に何回でも取れることです。会議の前に5分間、書類の同じところを何回も読むようになったら1分間、電車のつり革につかまって数秒間というように、スキがあれば仮眠を取るつもりでいましょう。

 睡眠時間が6時間より少ない人は、眠気を感じていなくても意識的に仮眠を取ってください。
 最近は、自分の睡眠不足を自覚できていない「睡眠不足症候群」の人が、急増しています。この症候群になると、眠気を感じないまま、大事な場面でカクッと眠ってしまう危険性があります。ですから、眠気の解消として仮眠が大事になってきます。

 退屈な会議の前も考えるふりをしながら、仮眠を取るとよいでしょう。眠気の先取りになります。
 少しでも眠ると、脳をリフレッシュできます。頭をスッキリさせて会議に参加すれば、興味を持って話を聞け、積極的になれるでしょう。さらに新しいアイデアを提案できれば、きっと会社での評価も上がります。

(第5回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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