カルチャー
2015年3月12日
仮眠前にカフェイン!「コーヒー・ナップ」のすすめ
[連載] 脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠【10】
文・坪田 聡
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夕方以降は10分以内の仮眠にとどめておく


 夕方以降に長い仮眠を取ると、夜の睡眠に悪影響が出ます。夜眠るときに、寝つきが悪いとか眠りが浅いなどと感じている人は、会社帰りの電車のなかで長い仮眠を取っていないでしょうか?

「午前中の仮眠は前夜の睡眠不足を補い、午後の仮眠は夜の睡眠を先取りする」とも言われています。睡眠で一番大事なのは夜の睡眠ですから、夕方以降はなるべく眠らないようにしましょう。

 とはいえ、睡眠不足がたまってくると、夕方にひどい眠気に襲われることもあります。そんなときは、10分以内の仮眠(ミニ・ナップ)にとどめておきましょう。
 これなら深い睡眠にならないので、あまり夜の本睡眠に悪影響が出ません。電車で座って10分眠ったら、立って眠気を覚ましてください。

 また、立ってつり革や手すりにつかまり、目を閉じるのもよいでしょう。立っているので長い時間は眠れず、数秒程度のナノ・ナップを繰り返すことで眠気の解消に役立ちます。ただし、安全には十分気をつけてください。

 逆に夜勤中には、長め(20~120分)の仮眠を取ることをお勧めします。仮眠によって眠気が減り、作業効率や注意力が向上する一方、ミスや事故が減ることが実証されています。

 夜勤の勤務時間のうち、どの時間帯にどれくらい仮眠を取ればよいのかは、まだはっきりしていません。職場の事情や自分の体調に合わせて仮眠を取るのがよいでしょう。目が覚めたらカフェインを摂って明るい光を見ると、早く眠気が引いていきます。

 帰りの電車や夕食後にいつも1時間以上眠ってしまい、遅い時刻になってもなかなか眠くならない人は、思い切って「分割睡眠」にしてしまいましょう。

 1日に1回、まとめて長く眠ることを「単相睡眠」、複数回に分けて眠るのが「分割睡眠」です。今の時代は多くの人が単相睡眠を取っていますが、電灯の発明以前は分割睡眠がメジャーだったとも言われています。
 夜型だった黒柳徹子さんも、最近では分割睡眠を行っているそうです。

(第10回・了)





脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠
坪田 聡 著



【著者】坪田聡(つぼた さとる)
1963年福井県生まれ。医学博士。雨晴クリニック副院長。日本睡眠学会、日本コーチ協会、日本医師会、ヘルスケア・コーチング研究会に所属。過酷なストレスに晒される現代、「睡眠に関する問題をスムーズに解決し、快眠生活を送る」ための指導を行なう睡眠コーチ。医師とビジネス・コーチの顔を持ち、健康的な睡眠に役立つ情報を提供し、睡眠の質を向上するための指導や普及に努める。2006年に生涯学習開発財団認定コーチ、2007年からAll About 睡眠・快眠ガイドを担当。「ブリーズライト」のCMに出演。著書に『脳も身体も冴えわたる1分仮眠法』(すばる舎)など多数。近著は『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』。
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