カルチャー
2014年12月9日
「ステロイドは怖い」って本当?
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【7】
文・本間龍介
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「ステロイドは悪」は誤解だった


 コルチゾールの役割に、炎症を抑えることがあります。
 コルチゾールが必要に応じて分泌されないと、体のあちこちで炎症が起きてしまいます。

 一方、コルチゾールには免疫機能を調整する働きがあるのですが、慢性的に分泌が多いと、免疫機能の低下を招いて感染症にかかりやすくなるなど、困ったことが起こります。
 あくまでも、コルチゾールは「適量」の分泌によって、炎症を抑えて、免疫機能もちょうどよい状態を保てるのです。

 コルチゾールの抗炎症作用は医薬品にも活かされていて、抗炎症薬としてステロイドが広く使われています。
 しばしば「ステロイドは怖い」と語られるのは、ステロイドを体内に入れすぎると、前述のとおり、免疫機能が低下してしまうからです。

 ただし、怖いのはステロイド自体ではありません。問題なのは「入れすぎる」こと。適切な量のステロイドは、体にとって非常に心強い働きをしてくれます。
 ですから、ステロイドは怖い、ステロイドは悪という短絡的な誤解は改める必要があります。

 また、アトピーに悩む人のなかには、なかなかステロイドを離脱できないと、「離脱できないのはステロイドのせい」と考える人がいます。
 しかしながら、アトピーの人たちは、皮膚に炎症が起きていて、その炎症を自力で抑えられないので、体外からステロイドを入れて炎症を抑えているわけです。

 炎症の原因そのものを取り除いたわけではないので、ステロイドをやめれば、再びアトピーの症状がブワッと出てしまいます。
 そうすると、「ステロイドをやめた途端に悪化した」と誤解してしまう人が出てくるのです。けれども、言葉は悪いですが、そもそも「臭いものにフタをする」ような処置をしていただけなので、フタを取ってしまえば炎症が再発するのは、むしろ当然の帰結でしょう。

 「ステロイドを使うと一生やめられない」という声も聞きますが、そうやって怖がるのも視野狭窄な考え方です。
 確かに、ステロイドだけに頼っていては根本的な解決は望めません。そうであれば、なぜ十分にコルチゾールが分泌されないのか、炎症の原因はどこにあるのか、こうした問題点を洗い出して対処していくことこそが、賢明な態度と言えるでしょう。

 ですから、その解決の道に至るまでは、コルチゾールが足りなければ外からステロイドを補う治療は十分に意味があるわけです。
 言ってみれば、コルチゾールは火消し役。火事が起きていれば、まずは火を消さなくてはなりません。
 もっとも、火消しとして水をかけるのはよしとしても、水をかけすぎては、水浸しになってしまいます。あくまでも「適量」が大切なのです。

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「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。