カルチャー
2015年1月6日
正月疲れ解消は「腸内改善」から
[連載] 「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい【11】
文・本間龍介
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「いい腸」をつくることが欠かせない

 
 体に有益なものを摂る、体に有害なものを摂らない――こうした「選択眼」を養うための指針を紹介したいと思います。

 口に入れるものは、腸で吸収されてはじめて効果が現れます。ですから大前提として、いかに「いい腸」をつくるかということが重要です。実際、腸をマネジメントすると一気に元気になる人はたくさんいます。

 腸も食べているものによって作られます。そして、腸の状態がいいからこそ、きちんと食べたものを吸収して排泄するという一連のシステムが機能するのです。

 食べ物は口から入って腸へと移動しますが、口~腸~肛門は1本のつながっている管であり、腸の粘膜から栄養分が吸収されて、吸収されなかった分が、最終的には便となって排泄されるわけです。

 あくまでも、管の中は「外界」で、基本的には、腸も口と同様に「外の臓器」です。つまり、腸の粘膜は外界と接する場所にあたるので、外界から体を守るために重要な場所であり、繊細な働きが求められます。

 腸の内壁はひだになっていて、無数の絨毛があります。こうした絨毛によって腸の内壁の面積は大きく広がり、その分、吸収率も高まります。
 腸の表面積は、成人男性だとおよそテニスコート1面分。それだけ絨毛がびっしり生えているのです。

 そして、腸内には、腸の内壁を覆うようにして、腸内細菌が多数生息しています。その数は100兆にものぼると言われていて、「まるでお花畑のようだ」という見立てから、腸内フローラ(腸内細菌叢)と呼ばれています。

 腸の粘膜や腸内フローラの状態がよくないと、免疫反応が活性化します。しかしながら、細菌やカビなど異物をやっつけようとするほど、自分の細胞も犠牲にしてしまいます。
 そのほかにも、内毒素、カンジダなどの問題がある微生物、IgGといったフードアレルギー、飲み薬など、腸の粘膜を傷つける要因はさまざまです。
 腸の粘膜が傷つく理由はさまざまですが、炎症が起きると粘膜が破壊されて、ただれた状態になってしまうのです。

 ひと昔前までは、日本人には少なかった病気ですが、近年はIBD(炎症性腸疾患)の一つである潰瘍性大腸炎の人も非常に増えています。

 ちなみに、便通も非常に大切です。生活するうえでさほど支障がないと、「下痢や便秘はよくあること」と気にしない人も少なくありませんが、どちらも大問題です。
 腸の粘膜が壊されない、炎症を招かないためには、あるいは、便通を改善するためにも、腸内フローラの改善が第一です。

要注意!有害物質が取り込まれる「リーキーガッド症候群」


 リーキーガット症候群とは、「腸漏れ症候群」などと訳されますが、何らかの理由で腸の粘膜が損傷されて、有害物質などが体内に入り込んでしまう状態です。
 食べ物は、口にする段階では、たくさんの分子がつながっています。それが、消化酵素によって分解されて小さくなっていくのです。

リーキーガット症候群 ※クリックすると拡大

 しかし、リーキーガット症候群のように、腸の内壁に隙間が空いていると、もっと小さくなった段階でなければ腸の内壁を通過できないはずの食べ物が、するっと通り抜けてしまうのです。
 そうすると、「本来は体内に入ってこないもの=異物」が侵入したと体が認識してしまいます。
 たとえば、鶏肉を食べたとすると、通常どおり分解されて腸から吸収されれば、アミノ酸として認識できますが、分解しきれていない形で入ってくると、アミノ酸の一種だと認識できずに、異物扱いをしてしまうのです。
 鶏肉という体に必要な食べ物を食べているのに、異物だと認識されると炎症が起こってしまいます。すると、炎症にはコルチゾールが使われるので、副腎疲労も治りづらくなります。

 どんなに素晴らしいサプリメントを摂っても、おいしく安全なオーガニック食材を摂っても、体内で異物と認識されてしまったら、吸収されないばかりでなく、むしろ炎症を起こします。

 だからこそ、いいものを摂るより前に、まずは腸のケアが肝心なのです。きちんと吸収できる腸でない限り、どれだけいいものを摂っても無駄になってしまいます。
 ちなみに、アレルギーや自己免疫疾患にも、リーキーガット症候群が関与しているケースがあると考えられています。

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「うつ?」と思ったら副腎疲労を疑いなさい
9割の医者が知らないストレス社会の新病
本間龍介 著/本間良子 監修



【監修】本間良子(ほんま りょうこ)
埼玉県出身。スクエアクリニック院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学病院総合心療内科入局。専門は内科、皮膚科。日本抗加齢医学会専門医、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。近年はアドレナル・ファティーグ外来にとどまらず、ホルモン補充療法やブレインマネジメントまで診療の幅を広げる。アドレナル・ファティーグの夫をサポートした経験から、患者家族へのアドバイスも親身に行っている。現在、南フロリダ大学大学院にて医療栄養学を専攻。著書に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。

【著者】本間龍介(ほんまりゅうすけ)
東京都出身。スクエアクリニック副院長。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。同大学院医学研究科修了。医学博士。日本抗加齢医学会専門医・評議員、米国抗加齢医学会フェロー、日本医師会認定産業医、日本内科学会会員。「副腎疲労」(アドレナル・ファティーグ)の第一人者であるウィルソン博士に師事。自身もかつてアドレナル・ファティーグに苦しんだ経験を活かし、日本ではまだ数少ない外来診療を行っている。監修に『しつこい疲れは副腎疲労が原因だった』(祥伝社文庫)がある。